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言わずと知れた建築家・安藤忠雄氏の代表作の大阪府茨木市に建つ「光の教会」の設計者選択から完成までの過程の読みやすいノンフィクション作品。時は80年代末のバブルの真っ只中、そう、大規模建築物件も多く、職人の人件費も資材も高騰していた時期に予算がないこの建築と格闘する人々・・・クライアントである教会関係者、施工する建築業者と現場監督、設計事務所担当者などそれぞれの人間模様も淡々と綴られる。ノンフィクションだから仕方がないのかも知れないが、悪人?!(悪役)が存在しないのがモノ足りない気もするけれど、この悪役に相当するのが、当時の社会環境とか実現不可能と思わせる当初の予算とか恵まれているとは言えない敷地条件とかになるんだろう。
著者が建築構造のプロであるから、構造に関する部分の解説もやさしく読める。十字架に切りとられた壁面の左右上部のそれぞれが5トンもある壁を天井から支える(普通だったら「そで壁」を設けて負担させるけど)といった苦労をはじめ数々の例が披露されている。ひとつの建築を通して楽しく読めるノンフィクションって珍しいのでは?!
あらゆる建築には完成までのそれに関わる人々のドラマが必ずあると思うけれど、それをノンフィクションという作品にまで成り立たせられるのは、中心となる建築・・・ここでの「光の教会」・・・の精神的にも研ぎ澄まされた存在感があるからこそなんだろうなぁと思う。第32回大宅壮一ノンフィクション賞受賞作とのこと。(2001/11/20 記述)
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